ドイツ・ベルギー・オーストリア・イギリス・スイスビール通販ショップ「欧州麦酒屋」がプロデュースする一話完結の欧州麦酒Cafe物語

ようこそ欧州麦酒Cafeへ

〜 Prologue〜
「ようこそ欧州麦酒Cafeへ。
当店はベルギー・ドイツなどヨーロッパ各国のビールをおいしい食事とともに楽しんでいただく、専門のカフェレストランでございます」


そんな触れ込みで突如オープンが決まった欧州麦酒Cafe。
それまで本社のヨーロッパビール部門のネット通販を担当していた、わたし城戸高嶺は、急遽カフェの副店長を任命される。
オープニングスタッフはわたしを入れてわずか三名。
店長を勤めるのは社長の御曹司、阿部比呂人(あべひろと)。
女好きの遊び人だけど仕事に対する思いは意外に熱く、男っぽい一面も。
厨房を受け持つのはシェフの八嶋一豊(やしまかずとよ)。
学生時代バックパッカーでヨーロッパを回り独学で料理を習得した、ちょっと癖あるこだわりの料理人。
この個性豊かな二人とともになんとか開店にこぎつけ早三ヶ月。
近頃はスタッフの足並みも揃いだし常連らしきお客さんもついてきたりして…。

セゾンⅡ グラス1 絶体絶命21世紀ヴァージョン

夕暮れ時のカフェバー。

窓際に座った3人の男女。
対峙して座る2人の女の間で、気の弱そうな男が恐る恐る声を発した。

「ま、まあ、2人とも落ち着こうよ」

ぶつかり合う女二人の視線が、おもむろに男に向けられた。

「そ、そんな怖い顔するなって。せっかくビールもきたことだし、まずは飲もうよ。二人とも一度飲んでみたいって言ってた、これがあのベルギービールだよ」

女たちはグラスを持ち上げると、乾杯しようとグラスを差し出す男を無視して無言で飲みはじめた。

2人の表情が心なしかなごんだのを男は見逃さなかった。

「どう?これが僕お勧めのグーズフォントラディションだ。みてよこの白濁した黄金の美しい色合い。レモンのようにさわやかな風味と酸味。ガツンとした喉越しの後、口に残る清涼感・・・夏はやっぱりこういう・・・」

「シゲル、今日はあんたのうん蓄きくためにここにきたんじゃないんだよね」

うんざりした顔でシゲルをさえぎったのはミキだった。

「そ、そうだったねミキちゃん。でもせっかくのビールだから・・・」

すると今度はもう一人の女が口を挟んだ。

「ホント、おいしいわこれ。さすがシゲちゃんだよね~。想像していた以上だよ~。ねぇシゲちゃーん、はるなおかわりしてもいいかな~」

シゲルはすくわれたように相好を崩した。

「もちろんだよ、はるなちゃん。でも嬉しいなぁ、みんなでこうしてベルギービールを語り合うっつうか・・・」

すると、ミキが飲み干したグラスを乱暴に置いた。

「だからビールの話してんじゃないっつうの。シゲル、あんた今日こそはっきりしなさいよ。あたしとそっちの女とどっちを選ぶつもりなんだよ」

「そっちの女だなんてひどーい。シゲくぅん、なんでこんな女とつきあってんのか、はるなわかんなーい」

そのまのびした言い方に、イライラの限界を募らせたミキが睨み返して口を開けかけたとき、

「あたしおしっこいってきまーす」と言ってはるなが立ち上がり、店の奥の化粧室へとかけ込んでいった。

「ったく。いちいちむかつく・・・」

「ミ、ミキちゃんもおかわり頼もうか」

シゲルが言うよりも早く、ミキはシゲルの飲みかけのビールを一気にのみほした。シゲルがあわてて追加のオーダーをした。

はるなが戻ってきた。
「あースッとしたー。ビールってさあ、おしっこが近くなるのがたまにキズだよねー。アレー、2人とももうおかわり飲んでんのー?ずるいぞー。すいませーん、わたしも同じのく、だ、さ、い~」

すると今度ははミキがもよおしたらしく、「あたしもちょっと行ってくる」といって席をたち化粧室に向かった。

「ねえねえ、シゲくーん。あたしミキさんて苦手だよぉ。早く2人きりにな、り、た、い~」

しなだれかかるはるなに、

「まあ、とりあえず今はさぁ、3人で楽しくビール飲もうよ。ね、はるなちゃん」

だらしなく鼻の下をのばしてシゲルが言った。

ほどなくして化粧室からミキが血相を変えて飛び出してきた。そして2人の前に立つと興奮した勢いで一気にまくし立てた。

「あんたたち、やっぱあたし降りるわ。っていうか最初から無かったことにして。シゲル、短い付き合いだったけどあんたとはこれっきりだから。二度と顔も見たくないし、電話もメールもしてくんじゃないよ。後は二人でどうぞ勝手にやんな」

「ミキちゃん、いきなりどうしたていうんだい?」

「どうしたもこうしたも話になりゃしない。シゲル、あんた、はるながオトコだって知っててつきあってたの?」

「オトコってまさか!うそだろ、ねえはるなちゃん?」

「ヒイッ」

「ほらごらん、はるなが口もきけないでいるのが何よりの証拠よ」

「は、はるなちゃん、お願いだから何とか言ってくれよ」

突然はるなは泣き出した。

「だってだって、シゲくんあのとき、はるなのすべてが好きって言ってくれたじゃん。たとえ何があっても、はるなを愛してるって言ったじゃん、あれはうそだって言うの?」

「それはきみが当然女だと思ってたから・・・」

はるなの泣き声が一段と大きくなり、ほかの客たちが注目しはじめた。

ミキが「はぁーッ」と深く息をはいて言った。

「やってらんないわ。オカマと張り合った自分もソートー情けないけど、それを気づかずに鼻の下伸ばしてた男にちょっとでもほれてた自分が、マジはずかしい・・・。2人とも二度とあたしの前に現れんじゃないよ。お似合い同士せいぜい仲良くやればいいじゃん。じゃあね、バイバイ」

ミキは出て行った。

シゲルは呆然としていた。

「ねえ、ねえ、シゲくーん」甘えた声で寄りかかってきたはるなの体を反射的にシゲルがよけた。

するとよろけた体を立て直そうとしたはるなの顔色が急に変わり、「なんだテメー」とどすのきいた声ですごんだ。まさに男の声だ。

「は、はるなちゃん?」

「ごるぁ、下手に出てりゃいい気になりやがって。おまえだってさんざん楽しんだんだろーが。オカマをなめてんじゃねえぞ、こらぁ」

愕然とするシゲル。いまや店中が2人に釘付けだ。

興奮したはるなの暴走は止らず、その後も暴言を吐きまくった。

今やまったく別人と化したはるなだったが、ようやく店中の注目を一身に浴びていることに気づくと、「見せもんじゃねえんだよ、こらぁっ」と捨て台詞を残し、そのまま出て行ってしまった。

残されたシゲルはへなへなといすに座り込むと、そのままテーブルに突っ伏してしまった。そして肩を震わせしくしくと泣きはじめた。

しばらくして。

片桐主任がグーズフォントラディションのボトルを持ってシゲルの席に行き、彼のために新しくグラスについでやった。

「あんたさぁ、最後の一杯だけあたしがおごってやるから、これ飲んだらおとなしく帰んな」

するとシゲルはゆっくりと頭をあげ、泣きはらした目を主任にむけた。

それからグラスを口元に持っていき、一息にそれを飲み干した。レモンのようなやや強い酸味が、今の彼の胸にほろ苦く染み渡っていく。
「・・・初めてだったんです。女の子にもモテたの、しかもいっぺんに2人も。僕、ベルギービールオタクっていうか・・・ネットのビール愛好会では結構うん蓄たれてて、評価も高かったんです。それで今年のはじめ、思い切ってサークルのオフ会に参加してみたんです。そうしたら思いかけずあの2人から声かけられて・・・夢かと思いました。タイプは違うけど2人ともすごくかわいくて目だってたんです。どっちかを選ぶなんて、もったいなくてできなかった。」

「どっちともうまくやろうとすれば結局両方失うんだよ」

「ハイ、勉強になりました。でもおねえさん・・・ウワァァァア」

それからシゲルは片桐主任の胸を借りて散々泣きまくった後、放心したようにげっそりとして帰って行った。

閉店後。

城戸「なんかあのシゲルって人、ちょっと気の毒でしたね」

店長安倍「女を見る目がなかった、というか女の区別もつかなかったんだから自業自得だろう」

シェフ八嶋「それにしても主任、ミキって子はどうやってあいつがオトコってわかったんですかね」

主任片桐「もともと怪しいとは思ってたんだろうけどさ。決め手は便座だね」

城戸「便座ですか?」

主任「ほら、はるながトイレから出てきたのと入れ違いに、ミキがはいっていったじゃん?でもミキは用を足すまもなく血相を変えて出てきた。そしてあの騒ぎになった。あたしあの時おかしいと思ってすぐ女子用トイレのぞいたんだけどさ、便座があがったままだったんだよ」

店長、シェフ「どういうこと?」

城戸「なるほど、女子なら普通便座は下ろして用を足しますよね、つまりはるなは女子トイレで便座をあげてタチションをした・・・しかもあげた便座を戻さずそのまま出てきてしまった」

主任「そういうこと。個室だから気をぬいたんだろうけど、まさか直後にミキがはいるとは思わなかったんだろうね」

店長「女の感はするどいからな。八嶋、やはり女は怖いぞ」

シェフ「それより店長、オカマ、おそるべしですよ」

一同「ごもっとも」

                                                                                                    Fin

kidotakane【投稿日】2012-02-08 16:36 【カテゴリー】欧州麦酒Cafe |コメント(0)

グラス11  欲望の昼下がり 後編 エピローグ

相変わらずカフェの男たちは美女に目がない。
その日。
彼女たちが入ってくると彼らの目は釘付けとなった。

店長安倍「久々にいい女だな、しかもナイスバディだ」
シェフ八嶋「それも3人ですよ、目移りしちゃうなぁ」

片桐主任と目があうと、彼女はやれやれという表情を返した。いつものことだ。

お水を持って席に行くと、3人とも海鮮サラダとビールを注文した。オーストリアのツィラタール ガウダーボックだ。

ランチとしては軽い気もするが、美しい人は食事にも気を使うのだろう。

食事のあと、私は彼女たちに呼ばれた。
そして少しの間おしゃべりを楽しんだ後、3人は上機嫌でかえっていった。これからゴルフのレッスンがあるのだという。

店長「オイ、お前彼女たちと知り合いだったのか?」

私「ええ、まあ」

店長「何話してたんだ?」

私「店長お忘れですか?ちょうど一年前、うちにきてお店のメニュー全部食べつくした3人姉妹がいたじゃないですか」

店長「ああ、あの太った3人の女・・・」

店長、シェフ、主任「まさか・・・」

私「あの日、3人はダイエットを決行する直前で、あのときがいわばランチの食べ収めだったんだそうです。翌日から彼女たちは涙ぐましほどの努力をして、やっと目標を達成しました。今日は一年ぶりのお祝いのお祭りだといってました、ガウダーなんとかという」

主任片桐「ああ、ガウダーフェストね。年に一度のチロル地方のお祭り・・・ 」

私「さすが主任、よくご存知ですね・・・店長、シェフ、どうかしましたか?目が点になってますよ」

店長「オイ、八嶋」

シェフ「は、はい・・・」

店長「なんだか女がわからなくなってきたぞ・・・」

シェフ「はい・・・」

                             Fin

kidotakane【投稿日】2011-08-06 0:00 【カテゴリー】欧州麦酒Cafe |コメント(0)

グラス11  欲望の昼下がり 前編 デザートはBb(Betubara)

ランチタイムは過ぎていた。3人の客を除いては。

彼女たちは店のメインともいうべき、本来なら10人近くかけられる中央のテーブルをたった3人だけで陣取っていた。それもまったく隙間が無いほどに。

開店直後からはいってきて、とにかくもう5時間近くも食べ続けている。

シェフ「なんかすごい光景だね」

主任「あの人たち、入店してから一度も席をたたず、ひたすら食べてる」

私「ずっと気になってたんですけど、おしっこもしてないですよね?ビールとか水分結構摂ってるはずなのに」

店長「おしっことは、さすがに着眼点がお前独特だな。まあ、摂った栄養は全て吸収してしまうタイプは概してああいう体型をしているものだ」
(うっ、また墓穴掘った・・・)

どうやら3人は姉妹らしい。

長女「二人ともいいこと?よーく噛んでしっかり味わっていただくのよ。大切なお料理なんですから」

次女「わかってるわよ、お姉ちゃま。それにしてもこの舌平目のムニエルは絶品だわ、ほんのりレモン風味のバターソースがなんともツィラタール ガウダーボックと合うんですもの」

三女「エスカルゴのクリームパスタも絶妙ね、隠し味にからすみとかチーズを使っているようだけど・・・」

長女「それは熟成したミモレットとペコリーノ、2種類のチーズをすりおろしたのを、ソースの仕上げにまぜこんでいるのでしょう」

三女「さすがお姉ちゃま、いちばんたくさん食べてきただけのことはあるわ」

次女「そんな言い方は、お姉ちゃまに失礼よ。先に生まれた分だけたくさんおいしいものいただいてるだけなのよ。お父様とお母様が事故で亡くならなければ、私たちももっとヨーロッパ生活を堪能していたのでしょうけどね・・・」

長女「そうね・・・チロル地方のフェストで二十歳だった私が初めて飲んだのもこのビールだったわ。本当にすばらしい味だった」

次女「私たちは未成年だったから飲めなかったけど・・・でも今はこうして日本でも味わえるようになってよかったわ。
それにしてもそろそろおなかもいっぱいになってきたわね」

三女「ほんと、もう苦しくて食べられないわ」

長女「まあ、なんてはしたないことを言うの。そんなことで明日からの苦難を乗り越えられると思って?」

次女「でもお姉ちゃま、ここにあるメニューは大体食べつくしたわよ」

長女「ではそろそろお開きにいたしましょう。すみませんカフェのお姉さん」

私「は、はい」(やっとお会計か~)

「そろそろおなかもいっぱいになったので、ビールのおかわりのあと、こちらのメニューにあるデザート、とりあえず全部持って来てくださる?」

一時間後。

レジで会計を済ました長女「おいしいランチだったわ」

次女「ツィラタール ガウダーボックといい、お料理といいおいしかったこと」

三女「私も夢中になってしまったわ」

長女「あらもうこんな時間、そろそろディナータイムね。次のお店に行きましょう、あっさりしたランチの次は中華にでもいたしましょう」

妹二人のおなかがグーとなった。

a suivre

kidotakane【投稿日】2011-08-01 0:00 【カテゴリー】欧州麦酒Cafe |コメント(0)

グラス10 御曹司店長の野望

「安倍店長と片桐主任て付き合い長いんですか?」
カフェの閉店後、お皿を厨房まで運びながら、思い切って私は片桐主任に聞いてみた。
珍しくご機嫌のようで鼻歌交じりに伝票を集計していたからだ。
主任はレジから引き出した伝票をぐるぐる巻きながらちらと私を見て、「まあね」といったきりまた視線を戻してしまった。

店長安倍とシェフ八嶋は早々と仕事を切り上げて、事務室のテレビにかじりついている。
まもなく始まる女子サッカーの世界大会観戦のためだ。
二人とも試合そのものよりも、プレイヤーに興味があるらしい。さっきからどの国の誰それがかわいいとか、ナイスパディだとか、そんな話で盛り上がっている。

今日はお客も少なく片付けも楽なため、私は一人で皿を洗い始めた。

「同期入社なんだよね」
主任がシンクに集めたふきんを洗いながらつぶやいた。
「はい?」
「御曹司とあたし、大学4年のとき本社の内定決定者の説明会で、初めて顔あわせたってわけ」
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kidotakane【投稿日】2011-07-28 0:00 【カテゴリー】欧州麦酒Cafe |コメント(0)

グラス9 マダムたちの午後

プロローグ

「コーチ、私のことなら気にしないでください。私のせいでご迷惑をかけるようなことになったら申し訳なくて・・・私はいつでも身を引く覚悟ですから」
「あなたが心配することじゃない。僕がふがいないばかりにかえってすみません。、彼女たちとはもう一度話し合って分かってもらうつもりです。だからもう少し辛抱してほしい」

一日目。昼下がり。
カフェ店内の中央にある楕円形のテーブルは、10名前後が着席できる、店のメインステージ。

その日囲んでいたのは華やかなマダムたち。
カジュアルな服装だが身につけているのはどれも高級品ばかり。それもそのはず、彼女たちはこのすぐ先にある高級テニスクラブの会員だ。入会金が驚くほど高額で有名なそのクラブ・・・。通ってくるのはお金持ちのセレブばかり。カフェの彼女たちも皆華やかで美しい。

中でもひときわ輝いているのは芳川夫人。飛び切り美人な上、服装のセンスも抜群だ。
皆が彼女に憧憬と敬意を持って接しているのがわかる。

「でも芳川様、今日のプレイも冴えていらしたわ。」

「本当。立て続けに3本もサービスエースお出しになるんですもの。思わずあのコーチが芳川様にガッツポーズ送ってたの見てなんかやけちゃったわ」

マダムたちは皆口々に褒め言葉を投げかけるが、芳川夫人はツェラタール ヴァイスを飲みながら悠然と構えていた。
「そういえば西田さん、少しはお慣れになって?最近ストロークが安定してきたようだけど」

「とんでもないですわ、芳川様。私なんて入会したばかりで、まだまだです」
芳川夫人に名指しで褒められ、西田夫人は頬を紅潮させた。
ほかのマダムたちの羨望のまなざしがいっせいに彼女に向かう。
マリーアントワネットの取り巻きのように、誰もが芳川夫人に声をかけてもらうのを待っているのだ。
ただ一人をのぞいては・・・
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kidotakane【投稿日】2011-07-24 0:00 【カテゴリー】欧州麦酒Cafe |コメント(0)

グラス8 女主任登場

「本日よりうちの経理を担当することになった、本社経理課主任の片桐若葉君だ。よろしく頼む」
店長安倍の紹介を受け、傍らの女性はにこりともせず頭を下げた。
ウエーブのかかった髪はセミロングで、きりっとした顔立ちに黒いふちのメガネをかけている。
年は40を過ぎたくらい。薄い唇と高い鼻。一重まぶたの瞳から発せられる光は鋭く、女性にしては大柄で、長身の店長と並んでいても頭ひとつほども差がない。

「では片桐君、一言挨拶を」

店長に促されると、彼女はシェフの八嶋と私を交互にみすえてから、おもむろに口を開いた。
「入社して20年。5年前に本社の総務部に異動し、昨年より経理課の主任として勤務。私のことは片桐主任と呼ぶように」

店長安倍が大きく咳払いをした。
「えー彼女は小売や営業の経験も豊富だし、接客マナーも完璧だ。総務に移ってからは事務でも手腕を発揮している。まぁ、みんな仲良くやってくれ」

早速シェフ八嶋,
「なんだか、おっかなそうなおばさんだね、城戸ちゃん」
私の耳元に近づいて囁いた。

すると彼女の鋭い目が八嶋をにらみつけた。
「八嶋シェフ、何か?」
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kidotakane【投稿日】2011-07-21 0:00 【カテゴリー】欧州麦酒Cafe |コメント(0)

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